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1994 年度 実績報告書

血管平滑筋細胞の変性関連遺伝子発現よりみた脳動脈瘤破裂の分子機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 05671159
研究機関近畿大学

研究代表者

種子田 護  近畿大学, 医学部, 教授 (10236713)

研究分担者 片岡 和夫  近畿大学, 医学部, 講師 (10221178)
山田 和雄  名古屋市立大学, 医学部, 教授 (90150341)
キーワード脳動脈瘤 / くも膜下出血 / 血管平滑筋細胞 / 血管内皮細胞
研究概要

破裂脳動脈瘤と未破裂動脈瘤の動脈瘤壁に対する抗平滑筋アクチン抗体を用いた組織学検討により両者の間に明らかな差が存在することが明らかとなった.すなわち未破裂動脈瘤では動脈瘤壁に多数の平滑筋細胞が存在した.これに対し破裂動脈瘤の動脈瘤壁では平滑筋細胞を含め細胞成分に乏しくまた細胞外マトリックスのコラーゲン タイプI,IIIともに著しく減少しており壁としての強度が乏しいと考えられた.また未破裂動脈瘤であっても破裂動脈瘤に合併したものは動脈瘤壁の組織学的所見は破裂動脈瘤と同様に平滑筋細胞の変性を認めた.頸動脈閉塞を伴った脳動脈症例の臨床的検討により血行力学的なストレスが動脈瘤の成長,破裂に関与する可能性が明らかとなった.そこで動脈瘤壁の病態の検討とともに走査電子顕微鏡を用いて動脈瘤の内腔の病態を検討しているが,破裂動脈瘤と未破裂動脈瘤とでは動脈瘤内腔を被う血管内皮細胞の病態が異なることが明らかとなってきた.すなわち未破裂動脈瘤瘤内は血管内皮細胞にて被われているのに対し,破裂動脈瘤瘤内では血管内皮細胞は断裂し動脈瘤壁の細胞外マトリックスへの炎症細胞の侵入,その破壊を認めた.すなわち動脈瘤内腔を被う血管内皮細胞障害が発生すると動脈瘤壁への炎症細胞の侵入それに続くサイトカインなどの作用により二次的に平滑筋細胞を含む動脈瘤壁の変性,傷害を生じる可能性も考えられることが明らかとなった.巨大動脈瘤を除く未破裂内頸動脈瘤で動眼神経麻痺にて発症した症例の術中所見を検討すると,単なる動眼神経への動脈瘤の圧迫のみでは動眼神経障害をきたしにくく,動脈瘤壁が極めて薄くなり動眼神経へ密接に接触することにより神経障害を生じている可能性が明らかとなった.こうした病態はほぼ動脈瘤破裂直前の病態を反映していると考えられた.

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 正名好之: "Azygos anterior cerebral artery 脳動脈瘤の3例." 救急医学. 18. 1002-1004 (1994)

  • [文献書誌] 岸口稔睦: "組織学的に解離性動脈瘤と思われるdolichoectatic basilar arteryの1例." 脳卒中の外科. 22. 491-494 (1994)

  • [文献書誌] 片岡和夫: "内頸動脈硬膜輪近傍動脈瘤に対するクリッピングの工夫." 脳卒中の外科. 23. 55-60 (1995)

  • [文献書誌] 種子田 護: "Prevention and aggravation of cerebral vasospasm by removal of subarachnoid blood in acute stage of aneurysm rupture.In Cerebrovascular Surgery.Takakura K,Sasaki T eds." University of Tokyo Press, 4 (1994)

  • [文献書誌] 片岡和夫: "頸動脈閉塞と椎骨脳底動脈瘤の合併." ニューロン社, 3 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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