気管内挿管し人工呼吸下に筋弛緩剤で非動化した雄Sprague-Dawleyラットに4本の硬膜外電極を装着し、大脳皮質感覚運動野内にFeCl_3溶液を5μl注入することにより、外傷性てんかんモデルラットを作成した。このモデルを使用して以下の結果を得た。(1)腹腔内にEPC-k(200mg/kg)、エピガロカテキン(EGC)200mg/kg、あるいはエピガロカテキン・ガレート(EGCG)200mg/kgを投与し脳波に対する影響を調べた結果、これらの薬物は脳波活動に影響を与えなかった。しかし、EGCGは心拍数をわずかに減少させる作用のあることが明らかとなった。(2)EPC-k(0.5〜5nmol)を含むFeCl_3溶液を大脳皮質に投与しても発作脳波は出現しなかった。(3)FeCl_3注入60分前にEPC-k(200mg/kg)あるいはEGCG(200mg/kg)を腹腔内に投与すると発作脳波の出現は明らかに遅延した。(4)FeCl_3注入30分前にアデノシン(5mg/kg)や2-塩化アデノシン(ClAd、1mg/kg)を腹腔内に投与しても発作脳波の出現は抑制されたが、ClAdは心拍数を2時間に渡り約20%抑制することを見いだした。以上の結果、EGCGは2つのピロガロール基を分子内に持つため、強いカテコール-0-メチル転移酵素活性阻害作用も持つが、200mg/kgの投与では循環器系に副作用のあることが明らかとなった。また、当初、アデノシン(Ad)及び2-塩化アデノシン(ClAd)の効果に関する研究は予定していなかったが、従来よりの研究からけいれん発作抑制にアデノシン系神経伝達物質が関与していることが示唆された。このため、AdやClAdの活性酸素消去活性を検討したところAdには強い、ClAdには弱い消去活性を見いだしたため、FeCl_3誘発けいれんに対する影響を検討し、Ad及びClAdはけいれん脳波発生を抑制することを見いだした。しかし、発作抑制効果の強いClAdは循環器系への副作用が強いこと、活性酸素消去活性の強いAdの発作抑制効果はClAdより弱いことも明らかとなった。
|