1.臨床研究においては、当初の計画をほぼ完遂することができ、その結果を4編の原著、1編の症例報告として発表することができた。電気生理学的手法を用いて、脳幹機能の経時的変遷パターンを検討できたことに加え、MRIを用いて脳幹奇形の形態学的変遷パターンを検討できたことは大きな収穫であった。後脳症状を発現した臨床例は経験できず、したがって、外科的治療の脳幹機能に及ぼす影響を電気生理学的に検討することができなかった。 2.基礎研究は、臨床研究に比べ計画通りにはいかず、十分な成果を挙げることができなかった。その最大の原因は、適当なmyeloschisisラットモデルの作成ができなかったことにある。抗ラット妊娠腎兎血清誘発中枢神経系奇形胎仔ラットを作成し、脳幹部における神経繊維の伸長につき検討しているが、当初の計画からは多少ずれている。実験的myeloschisisにおける脳幹の病理学的検索は今後の課題として残った。
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