研究概要 |
難治性てんかんに対する診断の確立・手術適応の決定の研究および磁気共鳴装置(以下MRIと略す)によるてんかん患者の形態学的変化の検討に引き続き、てんかん焦点におけるエネルギー代謝の検討を行つた。これまでの我々の長年の継続的研究から、てんかん患者における形態的変化が多くみられる、海馬・側頭葉に関して、MRSによる燐代謝を31P Spectroscopyにより、てんかん焦点のin vivoでの燐エネルギー代謝についててんかん患者および実験的に検討した。その結果は、第3回九州山口機能的脳神経セミナー(6月27日:山口)、第20回国際てんかん学会(7月8日:ノルウエー、オスロ)、第18回鹿児島てんかん懇話会(7月30日:鹿児島)、第16回ペンフイールド記念懇話会(9月17日:東京)、第52回日本脳神経外科学会総会(9月27日:東京)、第27回日本てんかん学会(10月1日:弘前)、第10回国際脳神経外科学会(10月18日:メキシコ、アカプルコ)、第20回日本脳研究会(10月28日:鹿児島)、第17回日本CI研究会(1月28日:東京)に於いて発表した。結果をまとめると、【.encircled1.】てんかん焦点では、発作間歇期には、hypometabolismが、また発作時にはhypermetabolismが指摘された。この点に関して、局所脳血流測定装置ならびにChemical Shift Imagingによつて、てんかん焦点の代謝を検討した。【.encircled2.】MRS(31P Chemical Shift Imaging)による31P-CSI(Chemical shift imaging)において、てんかん原性焦点でのATP,PCr,PDE,Pi,PME,Total Phosphateの検索を行い、てんかん患者におけるてんかん原性焦点の指標を作成した。また、上記31P-CSIによるてんかん原性焦点での燐代謝エネルギーに関する検討をおこない、発作時Piの上昇、発作間歇期には、PCrの低下がみられ、またPDEの上昇が認められた。【.encircled3.】実験てんかんモデルによる31P-MRSの検討では、発作開始からPiの上昇が認められた。【.encircled4.】99mTc-HM-PAOSPECT(Single Photon Emission CT)、および1231-IMP SPECTによる、てんかん患者の局所脳血流測定では、発作焦点では、約80%に低潅流域として認められた。この研究では、てんかんの発現機序解明のため、エネルギー代謝の面から検討を臨床的・実験的検討を行いその結果に基づいた新しい治療の開発として、迷走神経刺激によるてんかんの治療の研究も開始している。
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