研究概要 |
難治性てんかんに対する診断の確立・手術適応の決定の研究および磁気共鳴装置(以下MRIと略す)によるてんかん焦点におけるエネルギー代謝の検討を行った。海馬・側頭葉に関して、MRSによる燐代謝を31P Spectroscopyにより、てんかん焦点のin vivoでの燐エネルギー代謝についててんかん患者および実験的に検討した。その結果は、第19回鹿児島てんかん懇話会(7月30日:鹿児島)、東北てんかん懇話会(9月2日:盛岡)、第15回国際神経放射線学会:9月26-10月1日:熊本)、第28回日本てんかん学会(10月13,14日:岡山)、第17回ペンフィールド記念懇話会(10月23日:徳島)、迷走神経刺激療法研究会(10月24日:徳島)、第53回日本脳神経外科学会総会(10月27日:徳島)、串木野市医師会講演会(11月4日:鹿児島)、第18回日本脳神経CI研究会(1月28日:松山)において発表した。結果をまとめると、(1)てんかん焦点では、発作間歇期には、hypometabolismが、また発作時にはhypermetabolismが指摘された。この点に関して、局所脳血流測定装置ならびにChemical Shift Imagingによって、てんかん焦点の代謝を検討した。(2)MRS(31P Chemical Shift Imaging)による31P-CSI(Chemical shift imaging)において、てんかん原性焦点でのATP,PCr,PDE,Pi,PME,Total Phosphateの検索を行い、てんかん患者におけるてんかん原性焦点の指標を作成した。また、上記31P-CSIによるてんかん原性焦点での燐代謝エネルギーに関する検討をおこない、発作時Piの上昇、発作間歇期には、PCrの低下がみられ,またPDEの上昇が認められた。(3)実験てんかんモデルによる31P-MRSの検討では、発作開始からPiの上昇が認められた。(4)99mTc-HM-PAO SPECT(Single Photon Emission CT)、および123I-IMP SPECT、Xenon CTによる、てんかん患者の局所脳血流測定では、発作焦点では、約80%に低潅流域として、また発作時には血流の増加を認められた。この研究では、てんかんの発現機序解明のため、エネルギー代謝の面から検討を臨床的・実験的検討を行いその結果に基づいた新しい治療の開発として、迷走神経刺激によるてんかんの治療の研究も行ない、発作の減少を認めている。
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