研究概要 |
一酸化窒素合成酵素阻害剤(NOSI)のラット中大脳動脈閉塞モデル(MCAo)に於ける脳浮腫、脳梗塞阻止効果からNO合成系が虚血性脳細胞障害に深く関わる事について詳細に検討することが今回の目的であった。 「方法」(1)SDラットをハローセン麻酔下にてMCAoを作成し、無作為に生食((1)群)或いはL-NNA(0.001,0.003,0.01,0.03,0.1,0.3,1,3,10mg/kg.IP:(2)-(10)群;各群7匹)[5min,3,6,24hours after MCAo]を投与した。MCAo後48時間にて屠殺し、脳内水分含量(dry-wet method)及び脳内Na,K,Ca濃度(原子吸光法)を測定した。(2)SDラットをハローセン/笑気麻酔下にてminiclipを用いてPO,RE(各群4匹)を作成した。CBFは、水素クリアランス法(患側4、健側1本)により測定した。L-NNAは、POでは、MCAo後5分、3時間、REでは、MCAo及びRE後5分に腹腔内投与した。 「結果」(1)L-NNAは、(4)-(8)で脳水分含量、脳内Na濃度の増加を用量依存性に阻止した。虚血後4,24時間では、I-NOSが48時間では、C-NOSが有意に活性化されていた。(2)L-NNA(1mg/kg,IP)の虚血後投与によりPO及びRE共にSGの低下を有意に阻止した。 「結論」以上の結果は、L-NNAの0.01-1mg/kgが本モデルにおける至適量であり、虚血早期のMVにおけるI-NOS活性化が虚血性脳障害機構に深く関与することを示している。
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