研究課題/領域番号 |
05671182
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
河瀬 斌 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40095592)
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研究分担者 |
堀口 崇 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70245520)
荻野 雅宏 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80224137)
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キーワード | Hypothermia / Cerebral Ischemia / Immediate Early Genes / Delayed Neuronal Death / Cerebral Blood Flow / Adenosine / Cisternal Irrigation |
研究概要 |
[目的]低温による脳保護作用のメカニズムを検討する一方で、脳のみの局所低体温法を確立する。 [方法](1)スナネズミ一過性前脳虚血モデルを用い、オートラジオグラフィー法により蛋白合成能を、また免疫組織化学により各種蛋白の生成を、常体温と低体温とでそれぞれ比較検討した。(2)ラット一過性前脳虚血モデルを用い、線条体におけるdopamine・adenosineとその代謝産物の生成を、虚血中低体温と虚血後低体温とで比較した。(3)脳温測定用センサーを組み込んだ脳室脳槽灌流用ドレナージチューブ作成を計画した。 [結果](1)低体温により海馬CA1領域の遅発性神経細胞死は抑制されるが、これに先立ち(i)同部の蛋白合成能の回復が促進される。(ii)ストレス蛋白発現が抑制される一方で、即初期遺伝子c-Junが正常より強く発現する。以上より、低体温は虚血ストレスそれ自体を減弱する一方で、蛋白代謝を早期に回復させ、細胞の生存に影響を及ぼす即初期遺伝子の発現を促すことが明らかとなった。(2)(i)虚血中低体温はdopamineの放出を抑制したが、adenosineの放出には影響しなかった。(ii)虚血後低体温はadenosineの代謝を抑制して細胞外液中の濃度を高く保ったが、dopamine代謝には影響しなかった。(iii)以上より、低体温は上記の効果を増強させる治療法を組み合わせることで、臨床応用を更に検討し得ると考えられた。(3)脳温測定用センサーを組み込んだ脳室脳槽灌流用ドレナージチューブを試作、従来のものと材質・外径に差のないチューブが完成した。
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