研究課題/領域番号 |
05671183
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
吉田 一成 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70166940)
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研究分担者 |
上口 裕之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10233933)
若本 寛起 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30230923)
左合 正周 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60215704)
大谷 光弘 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80051605)
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キーワード | アストロサイト / 神経栄養因子 / 神経成長因子 / サイトカイン / 線維芽細胞成長因子 / インターロイキン-1 / コリン作動性神経細胞 / 副腎皮質ホルモン |
研究概要 |
我々はこれまでにアストロサイトが、神経成長因子(NGF)を産生すること、線維芽細胞成長因子(FGF)、interleukin-1(IL-1)などの種々のサイトカインが、アストロサイトのNGF産生を著明に増強すること、アストロサイトにより産生されるNGFが、アストロサイトの有する様々な神経栄養効果の一部を担っていることを明らかにした。本年度の研究では、以下の事項が明かとなった。1)NGFを培地中から除去することにより、中隔野コリン作動性神経細胞の変性が起こるが、IL-1などのサイトカインによりアストロサイトを活性化することにより、この変性がある程度防ぐことが可能であることが判明した。2)FGF、IL-1などによるアストロサイトのNGF産生促進効果、並びに、これらのサイトカインによるアストロサイトの前脳基底野コリン作動性神経細胞に対するcholine-acetyltransferase(CAT)増強効果もglucocorticoidにより著名に抑制された。一方、glucocorticoidにはNGF、サイトカインにより活性化されたアストロサイトの培養上清の中隔野コリン作動性神経細胞に対するCAT増強効果には全く影響を及ぼさず、glucocorticoidはサイトカインによるアストロサイトの神経栄養効果の増強を抑制することが判明した。3)IL-1等のサイトカインは、アストロサイトの脳幹部コリン作動性神経細胞に対するCAT活性増強効果を更に増強することが判明した。この作用は、NGFにはなく、抗NGF中和抗体により抑制されないことから、アストロサイトは、NGFとは異なるcholinergic neurotrophic factorを産生し得る可能性が示唆された。今後、この未知の因子の同定を進める予定である。
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