• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1995 年度 実績報告書

サイトカインにより活性化されるアストロサイトの神経細胞栄養効果-そのメカニズムの解明、ならびに障害された神経機能回復への臨床応用のための基礎研究-

研究課題

研究課題/領域番号 05671183
研究機関慶応義塾大学

研究代表者

吉田 一成  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70166940)

研究分担者 佐々木 光  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70245512)
稲葉 真  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00245507)
上口 裕之  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10233933)
若本 寛起  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30230923)
各務 宏  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80255471)
キーワード神経栄養因子 / アストロサイト / サイトカイン / 神経再生
研究概要

1.脳神経外科手術後の患者の脳脊髄液中に、nerve growth factor (NGF)およびNGF以外の神経栄養因子が有意に増量することが示され、手術により障害された神経回路網の修復に重要な役割を担っている可能性が示唆された。
2.アストロサイト培養上清中に、脳幹コリン作動性神経細胞のcholine acetyltransferase活性を増強する未知の神経栄養因子が存在することが明らかとなった。この栄養因子は、interleukin-1β(IL-1β)、tumor necrosis factor-α(TNF-α)およびacidic fibroblast growth factor (aFGF)といったcytokineの刺激によりアストロサイトからの放出が増量し、ヘパリン親和性で、分子量は約40〜60kDの蛋白であることが判明した。
3.アストロサイトには18、22、24-kD basic fibroblast growth factor (bFGF) isoformが発現しているが、IL-1β、TNF-α、epidermal growth factor (EGF)といったcytokineは、アストロサイトにおける22、24-kD isoformの発現を選択的に増量することが判明し、cytokineにより発現が増量したbFGFは、細胞質から核内へと移行することが確認された。また、アストロサイトから22-kD isoformが細胞外に放出されることが示された。
4.アストロサイトからciliary neurotrophic factor (CNTF)が細胞外に放出されることが示され、IL-1β、TNF-α、EGFといったcytokineはアストロサイトからのCNTFの放出を増量することが判明した。
5. Transforming growth factor-β1 (TGF-β1)は、アストロサイトにおけるneural cell adhesion molecule (NCAM)の発現を増強することが判明した。
以上より、アストロサイトはNGF以外の未知の神経栄養因子、bFGF、CNTFなどの非分泌性であると考えられていた因子をも放出していることが示された。また、脳損傷時に損傷部位に供給されるcytokineは、これらの栄養因子および神経接着分子の発現量(あるいは放出量)を増強することにより、障害を受けた神経回路網の修復に重要な役割を担っている可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Hiroyuki Kamiguchi et al: "Release of ciliary neurotrophic factor cultured astrocytes and its modulation by cytokines" Neurochem Res. 20. 1187-1193 (1995)

  • [文献書誌] 上口裕之: "培養アストロサイトにおけるbasic-fibroblast growth factorおよびciliaty neurotrophic factorの発現・放出に関する研究-特にcytokineの影響について-" 慶鷹医学. 72. T457-T470 (1995)

  • [文献書誌] 左合正周: "培養アストロサイト由来神経栄養因子の生理活性" 慶鷹医学. 72. 365-377 (1995)

  • [文献書誌] Masachika Sagoh et al: "Accumulation of nerve growth factor in cerebrospinal fluid and biological activity following neurosurgery" Neurol Med Chir. 37. 431-437 (1995)

  • [文献書誌] 稲葉真 他: "サイトカインによるアストロサイトにおける神経細胞接着分子(NCAM)の発現調節" 神経免疫研究. 8. 139-144 (1995)

  • [文献書誌] 上口裕之 他: "培養アストロサイトにおけるbFGF isoformの発現パターンおよび細胞内局在におよぼすサイトカインの影響" 神経組織の成長・再生・移植. (in press).

URL: 

公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi