研究課題/領域番号 |
05671185
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
中込 忠好 帝京大学, 医学部, 助教授 (90198052)
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研究分担者 |
金光 秀晃 帝京大学, 医学部, 講師 (10129992)
田村 晃 帝京大学, 医学部, 教授 (80111532)
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キーワード | 神経細胞死 / 蛋白合成 / 虚血耐性 / ストレス蛋白 |
研究概要 |
最近、短時間の脳虚血をあらかじめ動物にストレスとして与えておくと、2度目の虚血に対して神経細胞は耐性となることが明らかとなり、"虚血耐性現象"として知られているようになっている。この虚血耐性のメカニズムを明らかにすることができれば、虚血性細胞死を予防する治療薬がみつかる可能性がある。虚血耐性と蛋白代謝の関連を、放射性バリンを用いたオートラジオグラフィーで検討したところ、虚血耐性を獲得した神経細胞では、単なる2分間の非致死性虚血後にみられる蛋白合成の回復よりも、さらに回復が速やかであることが明らかとなった。また、虚血耐性を獲得した神経細胞はストレス蛋白の一つである。hsp72を強く発現することから、この蛋白の発現が虚血耐性の獲得に必要であるとも考えられた。しかし、蛋白合成阻害剤をもちいてhsp72を発現させても、虚血耐性は得られなかった。また、ウエスタンブロッティングで検討したところ、非致死的2分虚血と蛋白合成阻害剤を与えた後に合成される蛋白のパターンに差が存在しなかった。そこで、hsp72以外の蛋白が虚血耐性に関与している可能性が示唆された。今年度は、非致死的ストレスを複数回負荷すると、強いあるいは長期の虚血耐性が得られるか否かを検討した。まず、2分間の非致死的虚血を、6〜8回予め負荷し、1カ月後でも虚血耐性が確認されるかを検討した。その結果、1カ月後では、動物の虚血に対する耐性能力は消失していることが明らかとなった。現在、複数回非致死的虚血後2週後では、耐性獲得が認められるのか、また、複数回虚血のほうが一回の非致死的虚血よりも耐性を与える能力が高いのかを検討中である。
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