悪性脳腫瘍の治療は手術的摘出、化学療法および放射線照射が主体であるが、全摘出が不可能であり、適正な補助療法の開発がまたれている。従来の化学療法は腫瘍を制するまでに至らず、その治療予後は慘澹たるものである。これは、制癌剤が脳腫瘍に十分浸透せず、腫瘍内濃度が上らないためである。これを解決するために髄腔内投与や内径動脈内投与などが試みられている。我々の徐放性制癌剤ペレットは1)高濃度の制癌剤を2mmX10mmの針状の高分子材料の中に包理可能であること、2)高分子材料と制癌剤の複合体は制癌剤の徐放期間が約30日まで可能である、(3)複合体の作成は超低温下で行うためにどの様な制癌剤でも使用可能である、などの利点があり、一回の局所投与でしかも大量の制癌剤を長期間、脳腫瘍ないに投与できる方法である。この治療法の確立されれば悪性脳腫瘍の治療成績は一段と向上するものと考えます。今回は徐放性5Fu含有複合体を用いて、悪性脳腫瘍例に対して局所投与をし、その後、超高圧X線照射とACNU、またはCDDPなどの化学療法を施行した。これらの治療を行った悪性脳腫瘍と通常の集学的治療を行った症例の臨床病理像の検索と長期予後について検索した。54例の悪性星細胞系腫瘍のうち12例が徐放性5Fu剤を用いて集学的治療をおこなっている。多形性膠芽種と悪性星細胞腫では悪性星細胞腫で僅かにその平均生存期間が延長した。 Mixed gliomaとくにoligo-astrocytoma20例について組織像および増殖能と治療成績について検討した。Astrocytic cellとoligodendrogliaが分かれて存在するような腫瘍ではMIB-1増殖能のひくく、治療成績もよい傾向にあった
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