研究概要 |
平成5年度の研究実績の概要を報告いたします。本年には本治療実験モデルの再現性の確立と副作用と考えられる正常脳組織の反応の有無を検討しました。 実験方法は新潟大学脳研究所神経病理部門、熊西敏郎教授より分与された実験脳腫瘍株(RSV,1×10^5)をウイスターラットの深さ5mmの右脳実質内に定位的脳固定装置を使用し、移植実験脳腫瘍を作製した。この移植脳腫瘍が直径約5mm径になる移植後10日目にAlzet miniosmotic pump Model2001とBrain infusion Kit(深さ5mm)のセットにてMethotrexate(全量0.005mg)と Fluorouracil(全量0.5mg)の1時間あたり1mulの持続注入を行った。本実験モデルでは直径約3mmの腫瘍懐死像が再現性高く認められた。また腫瘍懐死巣周辺にはacute toxic inflamationの組織像が特異な所見としてみられた。一方正常脳には脳浮腫像を軽度認めるも局所化学療法で最も危惧されるnecrotizing leukoencephalopathyの像は少なかった。これらの組織学的所見は日本電子製動物実験用MRI(JNMSMR-270)にてlow intensity area としてみられ、相関性を認めた。 以上の形態学的成果は、平成5年度に達成された上記研究として、1993年10月メキシコにて開催された第10回World Federation of Neurosurgical SocietiesにおいてF329-A47,Experimental study of Rat brain tumor after continuous local chomotherapyの演題名で研究代表者の志村俊郎が口演発表した。更に1994年5月中国にて開催されるThe 3rd China-Japan Friendship Neurosurgical Symposiumで発表予定であります。
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