研究概要 |
ラット大脳皮質知覚領野損傷(Cortical Ablation)モデルを用いた。大脳皮質損傷後,経時的に損傷された大脳皮質に神経連絡を持つ視床神経細胞の神経機能の変化を電気生理学的に検討した。すなわち損傷する知覚領域である前脚を電気刺激しその刺激により誘発される視床知覚中継核神経細胞のsingle unit responseを微小電極を用いて測定し,その視床神経細胞のsynaptic transmissionを検討した。aham controlでは30Hzでの電気刺激下でのVPL神経細胞のfiring rateは約0.7spikes/stimulusであったが,大脳皮質損傷後14日後では約0.4と低下した。一方,b-FGF投与群ではむしろ損傷後4日目で約0.1と著明に減少した。組織学的には大脳皮質損傷後14日目では視床神経細胞の変性を認めた。神経栄養因子であるb-FGF(1mug)を大脳皮質損傷直後および損傷後4日後に投与したラットではb-FGF非投与群に比べ視床神経細胞の変性の程度は軽く,これまでの報告と同様に組織学的にはb-FGFの効果を認めた。しかし、VPL神経細胞にしぼった機能の面からはむしろb-FGFは機能を抑制する働きをしていると考えられた。
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