野球肘検診:離断性骨軟骨炎早期診断の試み

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05671194
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 三浪 明男 北海道大学, 医学部, 助教授 (20133738)
• 研究分担者: 鈴木 克憲 北海道大学, 医学部, 助手 (60241329)
• キーワード: 離断性骨軟骨炎 / CT診断 / MRI診断 / 早期診断 / 超音波診断

研究概要

MRIや超音波などの検査を肘離断性骨軟骨炎の早期診断に応用した報告はなく、本疾患の早期のMR像や超音波像は不明である。これら超音波とMRIを用いて野球少年を検診することによって、離断性骨軟骨炎の早期病変を検出することができるかどうかについて検討した。
札幌市少年野球連盟に加入している少年野球選手を対象とした検診に参加した全選手に問診(症状の有無、ポジション、練習内容、練習時間など)を行い、さらに診察と超音波検査およびMRIを行った。MRIでは、T1撮影をルーチンに行い、T1撮影で何等かの所見が認められた場合には、健側のMRIも行い、左右差を比較した。超音波やMRIにて異常の認められた選手には両親およびチームの監督を含め結果を連絡し、選手の活動を制限するかどうかを話し合い決定した。以後は定期的にX線検診や超音波検査にて経過を観察した。
札幌市少年軟式野球連盟に加入している少年野球選手44名を対象にして、全選手に問診(症状の有無、ポジション、練習内容、練習時間など)を行い、更に診察と超音波検査およびMRI検査T1、T2^*強調像を行った。
その結果、T1強調像にて9肘に上腕骨小頭内に信号の変化を認めた。T2^*強調像では明らかな異常を認めていない。T1強調像で均一明瞭な低信号を示した3例では、いずれも投球時に肘関節痛を認めた。X線撮影では明かな変化を認めた症例はこれら3例中1例のみであった。今後の経過観察を要すると思われる。

研究成果

• [文献書誌] 春藤 基之: "肘離断性骨軟骨炎早期診断におけるMRIの有用性" 日本整形外科学会雑誌. 67. 632-632 (1993)
• [文献書誌] 春藤 基之: "肘離断性骨軟骨炎:MRIを用いた早期診断の試み" 北海道整形災害外科雑誌. 36. 57-62 (1992)
• [文献書誌] 高原 政利: "肘離断性骨軟骨炎に対する超音波検査" 日本整形外科超音波研究会会誌. 3. 100-103 (1991)
• [文献書誌] 高原 政利: "肘離断性骨軟骨炎に対する超音波検査の有用性" 日本肘関節研究会 口演・討論集. 3. 13-15 (1991)
• [文献書誌] 高原 政利: "肘離断性骨軟骨炎の非手術例の成績" 日本肘関節研究会 口演・討論集. 2. 76-77 (1990)
• [文献書誌] 高原 政利: "肘離断性骨軟骨炎の予後" 日本整形外科スポーツ医学会誌. 9. 265-269 (1990)
• [文献書誌] 三浪明男: "新版・図説臨床整形外科講座「肘の画像診断」" メジカルビュー社, 432 (1993)
• [文献書誌] 三浪明男: "スポーツ外傷・障害のMRI診断「肘関節・離断性骨軟骨炎」" (株)文光堂, 387 (1993)