研究課題/領域番号 |
05671202
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 耕三 東京大学, 医学部(病), 助教授 (60126133)
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研究分担者 |
黒川 高秀 東京大学, 医学部(病), 教授 (90010298)
酒井 宏哉 東京大学, 医学部(病), 助手 (40205711)
織田 弘美 東京大学, 医学部(病), 講師 (60101698)
福井 尚志 東京大学, 医学部(病), 医員 (10251258)
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キーワード | 靱帯 / 修復 / 細胞外マトリクス / コラーゲン / 力学的特性 / 断面積 |
研究概要 |
本年度は前年度までに行った組織学的な評価に引き続いて、主に力学的な評価方法の確立を目的に研究を行った。靱帯の修復モデルは前年度までに確立されたものを用い、このモデルによって得られた家兎内側側副靱帯の修復部分の力学的特性を調べた。文献的考察から力学的特性の評価には、大腿骨、内側側副靱帯、脛骨からなる骨・靱帯複合体を用いるのが適当と判断した。万能引っ張り試験器を用いて予備的に骨・靱帯複合体の引っ張り試験を行った。各種の引っ張り速度を検討したところ、評価の容易さ、断裂部位や再現性の問題から、実際の引っ張り試験は毎分10mm程度の引っ張り速度で行うのが適当であるという知見を得た。また試験に際しては資料を一定の温度に保ち、十分な湿度を与える必要があることを知った。内側側副靱帯の修復部の力学的特性を知るためには、修復部の断面積を知る必要がある。この断面積の測定に関して種々の方法を試みた結果、一定の圧を加えた状態で資料の厚さと幅を直接計測するという単純な方法が再現性も良く、実際的な方法であるという知見を得た。修復部位の力学的特性を知るためにはさらに加えられた張力に伴う測定部位の偏位量を知る必要がある。この目的のために、ビデオカメラ、VTR等からなる記録装置と、記録された画像から偏位量を解析する画像解析システムの確立を行った。以上により家兎内側側副靱帯損傷モデルにおいて、修復部位の力学的特性を測定することが可能となった。実際にコラーゲンをコートした膜を用いた群とコートしていない膜を用いた群とで靱帯修復部位の力学的特性を評価したが、現在までに得られた結果では両者の間に有意の差は観察されていない。しかし検討を加えた個体数はまだ少なく、さらに観察時期や測定手技に関してもなお検討の余地があり、これらは最終年度の課題と考えられる。
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