| 研究概要 |
1. 接着性セメント(4-METAセメント)と金属の接着性の実験.ステンレス鋼およびチタニウムの板を用い,表面を鏡面研磨したものと,不整にしたものの2種類を準備した.ナイロンテープで金属の露出面を直径6mmとして4-METAセメントおよびCMW3で金属円柱と接着させた.金属表面の性状により接着性は異なっていたが,表面が平滑な方がステンレス鋼でもチタニウムでも接着力は大きかった.ステンレス鋼の表面平滑なもの約25MPa,表面不整なもの後者は14MPa,チタニウムではそれぞれ20MPa,7MPaの値が得られた.
2. 4-METAセメントによりプレコーディングした金属と市販の骨セメントの接着性(生食浸漬後の変化)の計測.円柱形のステンレス鋼およびチタニウムに4-METAセメントを塗布し重合後,市販の骨セメントであるCMW3にて,金属円柱への固定.4週間の生理的食塩水(36℃)に浸漬後,引き抜き試験を行った.生食に浸けないものに比べ両金属とも約20%の接着力の低下がみられたが有意差はなかった.これはプレコーディングを行わない金属の引き抜き試験(金属をCMW3で直接固定したもの)でも同様の傾向を示した.
3. 家兎体内埋入での接着力の変化の検討.2.と同様の標本を日本白色家兎の皮下へ埋入.3ヶ月後に摘出し,引っ張り試験を行った.接着力はバラツキが大きかったが,ステンレス鋼およびチタニウムとも約25%の低下がみられた.CMW3で固定したものもやはり20%の低下を示した.
4. 今後さらに生体内で力学的負荷をかけた状態でも今回得られた接着性が維持されうるか否かを検討する必要がある.
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