研究課題/領域番号 |
05671220
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佛淵 孝夫 九州大学, 医学部, 講師 (40190219)
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研究分担者 |
神宮司 誠也 九州大学, 医学部, 助手 (80235829)
泉 敏弘 九州大学, 医学部, 助手 (90253426)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 内分泌異常 / 成長ホルモン / 成長因子 / 甲状腺ホルモン / 骨折 |
研究概要 |
正常ラットにおいて骨格系を構成する骨軟骨における、全身性因子である成長ホルモンと局所性の成長因子の関係について検討した。正常ラットにおいて成長ホルモンを全身性に投与して大腿骨局所におけるTGF-βの遺伝子発現を検討した。つまり、生後4週のラットにヒト成長ホルモンを4時間毎に0.4IU皮下注を6回行い、初回投与後より0、3、6、12、24時間の時点にて血清および大腿骨を採取した。大腿骨は塩酸グアニジンを用いてRNAを抽出した後、等量のRNAを電気泳動し、骨基質に含まれており骨代謝に関与するとされるトランスフォーミング成長因子(TGF-β)のcDNAプローブを用いてノーザンブロット法を行った。各時点での成長因子のmRNA発現量はバンドの放射活性を測定し、投与開始時と比較検討した。血清中成長ホルモンは投与開始後6時間でピークとなり以後減少を示したがこの経過の中で、大腿骨より抽出したTGF-β mRNAは投与開始後6時間までは軽度低下したが、12時間後には投与前のレベルにまで戻った。しかしながら有意な変化とはいえなかった。しかしながら、軟骨における成長因子の発現を観察すると、TGF-βは変動は少なかったが、インシュリン様成長因子(IGF-I)および塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)では経時的に増加した。さらにその変化は一般的に言われている成長ホルモンによるIGF-Iの変化よりbFGFの変化の方が大きかった。このことは軟骨細胞において成長ホルモンが局所において成長因子を介して一部には作用していることを示唆するものである。 内分泌異常を示すモデルとしての甲状腺機能低下ラットにおける骨折治癒過程を正常ラットの骨折治癒過程と比較検討した。メチマゾールを投与することで実験的に甲状腺機能低下を誘導したラットにおける骨折仮骨の機械的な強度、組織像、基質蛋白の遺伝子発現を検討した。甲状腺機能低下ラットにおける骨折仮骨では、機械的にひねりの強さは低下した。また組織学的には、軟骨形成と内軟骨性骨化が抑制されていた。さらに、基質蛋白の遺伝子発現をみると、骨形成の指標となるアルカリフォスファターゼ、オステオカルシンの発現が低下していた。これらのことは、甲状腺機能低下による骨形成能の低下を示している。
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