研究課題/領域番号 |
05671236
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
藤井 克之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (10112856)
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研究分担者 |
田中 孝昭 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80171768)
蔡 詩岳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80183359)
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キーワード | 慢性関節リウマチ / II型コラーゲン / 抗II型コラーゲン / CBペプチド |
研究概要 |
変形性関節症(OA)や慢性関節リウマチ(RA)における関節軟骨の破壊機構に関しては不明な点が多い。今回は、これらの病的軟骨基質に対する免疫組織学的検索を行い、マトリックスの破壊状況を比較検討した。まずラットに感作して作製した抗ヒトII型コラーゲン抗体の特異性をELISA法を用いて検討した結果、三本鎖構造を有するnative typeのII型コラーゲン分子とは全く反応せず、三本鎖構造が解体された変性II型コラーゲンと濃度依存性に結合することが確認された。また本抗体を一次抗体として免疫組織染色を行うと、健常な関節軟膏は染色されなかったが、所期のOA軟骨では、表層から浅層が染色され、OAの進行に伴い深層へと染色域が拡大されていくことが判明した。これに対し、抗II型コラーゲン抗体では、逆に浅層で著しく染色性が低下していた。このことよりOA初期の軟骨では先ず表層から浅層に存在するII型コラーゲン線維の分解が生じてくることがわかった。また抗プロテオグリカン抗体による染色でも、OA軟骨では、浅層において著しい染色性の低下がみられ、プロテオグリカン分子もII型コラーゲン線維と同様に、浅層から分解されてくることが示唆された。これに対し、RAの関節軟骨では、II型コラーゲン抗体による免疫組織染色では、深層の染色性の低下がみられ、抗II型コラーゲンCBペプチド抗体では、深層に染色性が認められ、OA軟骨とは逆に、深層からのコラーゲン線維の分解が、RAの関節軟骨破壊の基礎になっていることが推察された。今後は、OAならびにRAの病的な軟骨組織を分解、培養し、各軟骨層における基質合成能を蛋白レベルで検討する予定である。
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