研究課題/領域番号 |
05671243
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
大橋 輝明 久留米大学, 医学部, 講師 (30167308)
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研究分担者 |
安部 淳 久留米大学, 医学部, 助手 (10248437)
森田 雅和 久留米大学, 医学部, 助手 (00248436)
永田 見生 久留米大学, 医学部, 助教授 (50140687)
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キーワード | 頚椎 / 神経根 / 椎間孔 / 頚椎症性神経根症 |
研究概要 |
前年度までに得られた基礎的研究により骨性椎間孔はC4が最も狭く、以下C5、C6、C3、C7の順で狭小化し、椎間孔部では頚椎神経根の前根と後根の走行状態が異なり神経根障害が生じやすい解剖形態が存在した。次に、頚部神経根症の診断でその責任高位が明確にされ、観血的治療を行った40症例の臨床症状や画像所見および術後成績を評価した。症例は、男性28例、女性12例で、年齢は19歳から72歳平均47歳で、平均経過観察期間は、3年2ヵ月であった。術中所見より神経根圧迫の病因は、椎間板ヘルニアと後方の骨棘であり、障害神経根は、C6、C5、C7の順で多かった。術後成績は、優19例、良13例、可2例、不変・悪化6例であり、症状は、知覚障害を認める例が多く、運動麻痺を認める例は少なく、後根の障害が前根の障害に比べて多いことが示唆され、これは、後根と前根の椎間入口部での走行状態の違いが関与していると考えられた。 さらに、頚部神経根症の一疾患であるKeegan型近位上肢運動麻痺は、三角筋の運動麻痺を主訴とし、障害される神経根がC5およびC6であることより頚椎の形態学的特徴があるとされている。今回、1976年から1994年まで保存的治療を行ったKeegan型近位上肢運動麻痺120例を対象に症状および画像所見を調査した。症例は、男性97例、女性23例で、年齢は17歳から88歳平均56歳であった。CTによる上関節突起の位置と椎間孔狭小化の有無を観察し、患側のC5あるいはC6上関節突起が健側に比べ5mm以上前方に位置し、さらにLuschka関節や椎間関節の関節症変化や先天的椎間孔狭小を伴っている例が多かった。このことより、Keegan型近位上肢運動麻痺の発生機序はC5あるいはC6椎間孔周囲の先天的あるいは退行性の形態異常を基盤とし、これに動的あるいは静的要因が加わった神経根障害であると推察した。
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