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1993 年度 実績報告書

脳虚血・低酸素後の神経細胞障害に及ぼす局所麻酔薬のクモ膜下腔注入による影響

研究課題

研究課題/領域番号 05671247
研究機関秋田大学

研究代表者

太田 助十郎  秋田大学, 医学部, 講師 (90125708)

研究分担者 水沼 隆秀  秋田大学, 医学部, 医員(臨床医)
真崎 容子  秋田大学, 医学部, 助手 (30125744)
キーワード脳虚血 / 局所麻酔薬 / リドカイン / くも膜下腔注入 / 脳保護 / 遅発性神経細胞壊死
研究概要

【対象および方法】雄Sprague-Dawleyラットを用いて、酸素/笑気/イソフルレンの麻酔下に気管内挿管し調節換気を行った。対照(生食水注入)群、リドカイン注入群は、それぞれ、生食水0.5ml/kg、リドカイン5mg/kgを大槽に注入して15分後から、前脳虚血をつくり、再び回復させた。なお、前脳虚血は、10分間の両側頸動脈クランプと脱血による低血圧の併用で作成した。生存7日目に同麻酔下に経心臓的に4%ホルマリンを注入して脳灌流固定を行った。celestine blue/acid fuchsin染色して光学顕微鏡的に主に海馬CAI、尾状核、大脳皮質の神経細胞障害の程度を各群で調べた。
【結果】リドカインのくも膜下腔注入群は対象群に比して、海馬CA1、尾状核、大脳皮質の障害は小さかった。とくに、尾状核と大脳皮質の遅延性細胞壊死の程度は軽かった。
【考察】局所麻酔薬リドカインに脳保護作用があると考えられるが、その本質はNa^+チャンネルの特異な遮断効果に求められよう。その作用機序としては、次のことが考えられる:1)くも膜下腔の髄液中に拡散したリドカインが、直接あるいは一部Virchow-Robin spaceを介して大脳皮質、さらには脳実質(尾状核や海馬)へ浸透した可能性がある。2)海馬CA1と尾状核へは、いずれも大脳皮質からglutamateを伝達物質とする神経入力が確認されている。そのため、虚血前に局麻薬のくも膜下注入を行うことにより皮質の膜脱分極が抑制され、興奮性伝達物質の遊離が阻止された可能性がある。3)虚血後脳障害に中枢性交感神経系の関与が指摘されているが、第4脳室底に存在し脳内の交感神経系を統括する青斑核へほぼ直接的に局麻薬が浸透しうることは、今回のリドカイン効果にも少なからぬ影響を付加している可能性がある。
【結論】脳虚血に際し、局所麻酔薬リドカインのくも膜下腔注入は脳保護効果を示す。

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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