研究概要 |
1)近年、知覚神経の抹消終末部位からのsubstanceP(SP)の放出が、外傷性疼痛損傷でよくみられる皮膚の紅潮(紅斑)や炎症を引き起こすことが指摘され、SPの伝達及び抹消での放出防止が、痛いのcontrol(制御)する際の治療上の有効な手段として注目されている。 2)最近、われわれは、SPのペプチド内部構造(SP4-10)に親和性を示すが、SP分子の遊離のNH2-末端に対する選択性を欠く、SP中間部位指向性抗体を開発した。そこで、この抗血清と従来のCOOH-末端指向性の抗SP家兎血清とを組み合せ、ラットの神経組織に於ける成熟型と未熟型のSP(SP前駆体)の細胞内プールの比較定量を施行した。具体的には、ラットの後根神経節(DRG)に於けるSPとその非アミド化前駆体の分子存在比率に相応する免疫活性(RIA)を、DRGの酢酸抽出物のHPLC分画分取フラクションを用いて求めた。その際、前駆体の分子種の同定は、合成標準物質のHPLC上の溶出位置(retentiontime)から推定した。 3)その結果、ラットの後根神経節抽出物のHPLC/RIA分析に於て、成熟型SPと共に生合成過程の幾つかのSP前駆体型が検出され、SP-グリシン-リジン-アルギニン(SP-G-K-R),SP-グリシン-リジン(SP-G-K),SP-グリシン(SP-G),及び、SPのRIA値は、各々、回収された総免疫活性の2.5%,10%,5.7%,及び86.6%に相応していた。なかでも、SPへの直前の前駆体SP-Gが優位に検出されラットDRGの神経細胞のSP発現に於ける末端アミド化反応が制限段階であることを示唆された。
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