Tangsten dietによりラットの肺のキサンチンオキシダーゼ(XO)、キサンチンデヒドロゲナーゼ(XD)はcontrol dietのラットに比べ約80%枯渇できた。これらのXO、XDを枯渇させたラットより摘出した潅流肺標本を用いた実験では、90分虚血および再潅流による肺障害は有意に抑制された。また、XOの阻害薬であるアロプリノールを投与した場合、90分虚血-再潅流による肺障害は有意に抑制された。しかし、XDからXOへの転換は90分程度の虚血では生じないことが証明され、さらに、虚血+純窒素換気という高度のanoxiaではXDからXOへの変換および細胞内でのヒポキサンチンの蓄積が促進され、再潅流時の障害が大きくなるとの予想に反して、単純虚血中の場合よりも障害が少なかった。 正常ラットの摘出肺標本を用いて60分の虚血-再潅流を行い、活性酸素のスカベンジャーであるSODおよびカタラーゼの効果を調べた結果、肺障害がSOD群、catalase群で有意に抑制された。以上の所見より、肺の虚血再潅流障害において、活性酸素が重要な役割を果していることは明らかである。しかし、その発生源としてのキサンチン-キサンチンオキシダーゼ系の関与は考えにくい。またXO、XDを枯渇させたラットの肺およびアロプリノールの使用により肺障害が軽減されることから、それらが直接活性酸素の発生と関係している可能性が考えられる。Blood freeの潅流肺において活性酸素の発生源として最も考えられるのは肺胞マクロファージ等の組織に存在する多角球である。したがって、XO自体が多角球の活性化に関与している可能性が考えられる。
|