研究概要 |
悪性腫瘍患者の手術後に見られる急速な転移の機序として注目される接着分子の一つであるICAM-1について調手術・麻酔の影響を調べた。本年度は悪性腫瘍患者について、予定していたICAM-1の血中濃度のほかに代表的なサイトカインである、TNFalphaとインターロイキン-1についても測定した。ICAM-1の血中濃度の変化を追えたのは17症例であった。 結果:1.原発巣のほかに転移の認められる悪性腫瘍手術例を対象にしたが、ICAM-1レベルは大半が正常範囲にあった。2.術前ICAM-1レベルが高い患者では麻酔および手術侵襲により数時間以内に低下傾向を認めた。3.TNFalphaやインターロイキン-1の地は測定限界以下のものが多かったが、TNFalphaは麻酔により早期に抑制される傾向を認めた。4.ICAM-1,TNFalpha,インターロイキン-1の間に一定の関係は認められなかった。 ICAM-1は各種サイトカインにより産生が促されると言われているが、我々の結果からみて測定した2種類のサイトカインは手術・麻酔によるICAM-1の変化に、あきらかな影響は与えないのではないかと思われた。
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