研究課題/領域番号 |
05671276
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
奥村 福一郎 横浜市立大学, 医学部, 教授 (50028487)
|
研究分担者 |
工藤 一大 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (30145700)
羽尻 悦朗 横浜市立大学, 医学部, 助手 (30237953)
柴田 利満 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80106319)
|
研究期間 (年度) |
1993 – 1995
|
キーワード | 虚血性心疾患 / 周術期 / PDE阻害薬 / ランゲンドルフ回路 |
研究概要 |
虚血性心疾患を有する患者の周術期管理に有用な薬剤を研究するために、摘出心潅流モデルを用い、ドーパミン(以下DOA)、アムリノン(以下AMR)と新しいPDEIII阻害剤であるOPC18790(以下OPC)とについて、低冠潅流量モデルにおける左心機能、心筋酸素消費量に及ぼす影響について検討した。 モルモットの摘出心臓をランゲンドルフ回路を用いて潅流圧70mmHgで冠動脈を潅流した。実験手順としては1)潅流圧70mmHgで潅流、2)低潅流(50mmHg)10分間、3)次いで、OPC群OPCを10-5M、AMR群アムリノン10-4M、DOA群ドーパミン2×10-6Mの3群に分け、それぞれ10分間持続投与した。4)その後、潅流圧〓0mmHgに復帰させ10分間維持した。Control群(10例)として同様の実験手順を薬剤なしで行った。これらの薬剤の濃度は、dp/dtmaxを指標としてControlの50%増加する濃度をそれぞれの濃度反応曲線より得て等効果量とした。左室収縮力は低冠潅流圧により左室圧、dp/dtmaxとも10%減少し、この減少を3薬とも同程度に拮抗した。また、いずれの潅流圧でもPDEIII阻害薬はcontrol、ODAよりも冠潅流量は増加した。酸素消費量はいずれの潅流圧でもcontrolを含めた4群間では有意差は認められなかった。酸素摂取率はPDEIII阻害薬2群はcontrol、ODA群に比べ、いずれの潅流圧でも14〜30%の低下を示した。冠潅流量の増加作用はPDEIII阻害薬で認められたが、ODAでは認められず、酸素供給の点で前者は優っていた。全ての時点で酸素消費量は4群間で有意差は認められなかったが、冠潅流量増加による酸素供給量増加のための酸素摂取率の低下がPDEIII阻害薬2群で認められた。以上の結果からPDEIII阻害薬はODAに比べ低冠潅流心において冠潅流量増加による心筋酸素摂取率の低下を示し、虚血状態での使用の優位性が示唆された。
|