横隔神経よりの発射の出現が多い呼気炭酸ガス濃度下で、この発射が非脱分極性筋弛緩薬ブロックよりの回復に及ぼす影響を調べる。ラット腹腔内麻酔下で小動物レスピレーターにて人工換気を行い、頸頭において横隔神経を剥離し、右横隔神経を切断、中枢からの伝令を遮断した状態を作った。左の横隔神経はそのままにしている。開胸し、胸腔内で左右の横隔神経を刺激し、それに対する左右別々の横隔膜からのmechanical twitch responce(MTR)をストレーンゲ-シで捕らえて増幅記録した。両者の反応を同時記録、連続注入装置で筋弛緩薬を投与して90%ブロックを形成し、注入停止と同時に回復過程を先の実験で求めた発射発現頻度の高い呼気炭酸ガス濃度下で、左右別々のmechanical twitch responceとして観察した。 実験を進めるに従い、開胸下で左右別の横隔膜を分離し、左右別々のmechanical twitch responsesを記録するのは難しいという問題は解決するようになった。 この標本を用い、平成6年度では、レスピレーターによる人工換気下で換気条件をいろいろ変化させ、高炭酸ガス血症群、正常群、低炭酸ガス血症群の三群に分け実験を行った。炭酸ガス濃度が高い程、Respiratory driveによる高頻度テタヌス刺激が横隔神経より検出され、更に筋弛緩薬ブロックに対する離脱作用も強く観察された。高炭酸ガス血症群では、炭酸ガス分圧45〜55mmHgに、レスピレーターによって呼吸数を設定して作り、この時の左右の横隔膜神経刺激による横隔膜のmechanical twitch responsesを記録した。左のtwitchは高炭酸ガスによる中枢神経よりrespiratory driveの影響を受け、筋弛緩薬ブロックからの回復が早い結果が観察されている。
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