左の横隔神経は残しておき、右の横隔神経は胸腔内で中枢から切断した。実験を進めるに従い、開胸下で左右別の横隔膜を分離し、左右別々のmechanical twichresponsesを記録するのは難しいという問題は解決するようになった。 この標本を用い、平成7年度では、レスピレーターによる人工換気下で換気条件をいろいろ変化させ、高炭酸ガス血症群、正常群、低炭酸ガス血症群の三群に分け実験を行った。炭酸ガス濃度が高い程、Respiratory driveによる高頻度デタヌス刺激が横隔神経より検出され、更に筋弛緩薬ブロックに対する離脱作用も強く観察された。高炭酸ガス血症群では、炭酸ガス分圧45〜55mmHgに、レスピレータによって呼吸数を設定して作り、この時の左右の横隔膜神経刺激による横隔膜のmechanical twitch responsesを記録した。 高炭酸ガス血症群(炭酸ガス分圧45〜55mmHg)では100HZ前後のデタヌス刺激が観察された。 左のtwitchは高炭酸ガスによる中枢神経よりrespiratory driveの影響を受け、筋弛緩薬ブロックからの回復が早い結果が観察された。この現象はさきの100HZ前後の刺激が左の横隔神経を介して左の横隔膜に影響を及ぼし筋弛緩薬ブロックよりの離脱を促進した。 右の横隔膜は中枢よりの伝令が来ないように切断されているために、respiratory driveが働かなかったと解釈される。
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