1)腎盂尿管移行部狭窄の病理組織学的検討 内因性腎盂尿管移行部(以下PUJ)狭窄に関して、走査電子顕微鏡を用いて筋および膠原線維による三次元的構築の状態について検討するとともに、抗ヒトPGP9.5抗体を用いた神経染色によりPUJ狭窄部分の神経分布について検討した。計7例の内因性PUJ狭窄と4例の外因性PUJ狭窄および7例の健常例とを比較した。内因性PUJ狭窄では一様に筋束間の膠原線維束が著名に増加するとともに個々の正滑筋細胞を包む膠原腺維鞘も蜜なフェルト状を呈し、平滑筋間の距離は健常例や外因性PUJ狭窄の7倍となっていた。また、神経分布に関して外因性PUJ狭窄の若年者2例では健常とそれと比較し違いはみられなかったものの、内因性狭窄例では健常例と比較し、等しく神経密度が低下していた。 2)定圧灌流式尿流量測定による水力学試験 従来より、腎瘻から一定の速度で水を流し腎盂内圧を計測するいわゆるwhitakerテストが上部尿路の通過性を評価するのに行われてきた。我々はより生理的と思われる圧を一定とする条件下で尿流量を計測するconst antpressure perfusion試験を臨床的に応用すべくRI物質を用いて行なった。その結果、流量(F)は注入RIのカウント率(Co)によって、F=Initial slope/Coと表現される。これを用いて、腎瘻を有する症例において、本定圧灌流試験を行なうと、非閉塞症例では圧の上昇に伴ない直線的に流量も増加するが、閉塞を有する例では腎盂内圧が12cmH_2Oでも尿流が確認されなかった。 3)出生前診断による水腎症の評価法と予後 出生前超音波診断により発見される水腎症は出生後超音波検査で水腎を示す以外に臨床症状に乏しく、何をもって治療すべき水腎であるか否かを判断すべきか議論の多い所である。^<99m>Tc-DTPAを用いた腎動態シンチグラフィーに利尿剤投与を併用した利尿レノグラムを用いて、腎機能(とくに偏側であれば分腎機能比)を計測するとともに利尿により腎盂からのRIのwash outの半減時間(DT 1/2)を計測した。臨床的に問題となる水腎症はDT 1/2の値に拘らず、患側腎機能の低下を示す症例である。
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