平成5年度の研究結果をふまえ当該年度では5α-reductase inhibitorおよびpure-antiandrogenのラットBBN膀胱発癌に対する抑制効果の投与量依存性を検討した。 その結果、以下のことが判明した。 (1)この実験で5α-reductase inhibitorは抑制効果を示さなかったがantiandrogenは用量依存的に膀胱発癌を抑制した。この事実はテストステロンの膀胱粘膜細胞への作用機序は前立腺細胞で知られているような5α-reductaseを介した機序とは異なる機序である可能性を示唆するものと考えられた。 (2)また免疫組織学的検索およびimmunoblot assayにより膀胱上皮にはアンドロゲン受容体が存在することが強く示された。 (3)以上の二つの結果よりテストステロンがアンドロゲン受容体に直接結合して膀胱発癌に関与している可能性が示された。
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