研究概要 |
レトロウイルスベクターによりマウス膀胱癌株(MBT2)にin vitroでIFN-γ遺伝子を導入し,IFN-γ産生膀胱癌株(MBT-2/γ)を樹立した.MBT-2/γをマウスに皮下注しても腫瘍形成は認められず,またこのマウスは親株MBT2を拒絶し,抗腫瘍ワクチンの作用を有していた.今年度は,この免疫が特異的であることを示しMBT-2/γクラスI MHC発現の増強を確認した. 1)IFN-γ遺伝子導入マウス膀胱癌細胞(MBT-2/γ)のクラスI MHC発現の程度コントロールとしてMBT2,MBT-2/Neo(MBT2にNeomycin耐性の遺伝子を導入したもの)を用い,FAC SCANにてクラスI MHCの発現を調べた.MBT-2/γではMBT2,MBT-2/Neoに比較してクラスI MHC発現が増強していた. 2)免疫応答の特異性を調べるために、MBT-2/γで免疫したマウスの脾細胞とMBT2を混合して正常マウスに皮下注すると腫瘍は形成されなかった。しかし抗CD8,抗Thyl抗体を入れると腫瘍は形成された。抗CD4抗体では腫瘍は形成されなかった。以上より、CD8陽性T細胞が、今回の抗腫瘍免疫反応に主要な役割を果たしていることが解明された。
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