平成6年度の研究では、アンドロゲン依存性組織退縮の分子機構を解明する糸口を、遺伝子発現のレベルで得る事を目標に以下の4点について、研究を推進した。 (1)アンドロゲン依存性組織退縮とがん遺伝子群発現の関連の検討。 (2)アポトーシスの指標の一つであるゲノムDNA断片化を、平成5年度の研究で開発した高感度Assay法により検討し、退縮初期過程を明確に特定する試み。 (3)組織退縮初期過程に発現変動を示す遺伝子群のmRNA differential Display法による同定。 (4)アンドロゲン依存性増殖を示すシオノギ癌(SC115)をモデルシステムとした、アポトーシス機構の解析解。(1)(2)(3)の研究では現在、継続推進中であり、Preliminaryではあるがアポトーシスとの密接な関連が示唆されているTRPM-2のAlferafive transcriptの同定(第67回、日本 生化学会大会、投稿中)など興味ある結果が得られており、今後の発展が期待される。一方、(4)の研究では、癌の増殖進展過程へのアポトーシス機構の関与が示唆される結果が得られたことから(第67回日本内分泌学会学術総会、1994、投稿準備中)、アポトーシス機構を指標として新たなSC115クローン化細胞の分離を試み、アンドロゲン応答性の異なるアポトーシス機構を有するクローンの分離に成功した(第68回日本内分泌学会学術総会、1995、発表予定)。現在、これらのクローン化細胞を用いて(1)、(2)、(3)の研究を推進中である。 これらの研究は、アンドロゲン依存性組織退縮の分子機構を遺伝子発現レベルで解析する興味ある手がかりを提供しており、発展的に推進中である。
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