研究概要 |
アンドロゲン依存性組織の恒常性の分子機構を解明するためには、細胞増殖の分子機構と同時にアポトーシスの分子機構を明らかにする必要がある。本研究では、以下の3点に焦点を絞り研究を推進した。これらの研究には、ラット雄性副性器シオノギ癌をモデルシステムとして用いた。 (1)アンドロゲン依存性組織の退縮初期段階における、がん遺伝子群を含むアンドロゲン応答性遺伝子群発現の検討。アポトーシスとの関連が示唆されるMycファミリーのパートナー、ラットMaxcDNAのクローニングに成功し、得られたcDNAをプローブとして、去勢ラット雄性副性器でMax mRNAのすみやかな発現誘導を観察した。(伊澤正郎、第66回日本内分泌学会学術総会、1993、Izawa Biopys Acta 1216,412,1993.)。一方、アポトーシスとの関連が示唆されているTRPM-2のAlfernative formのcDNAクローニングに成功した(第67回日本生化学会大会、大阪、1994、投稿中)。さらに、アンドロゲン応答性遺伝子群のmRNA Differential Displa法による同定を推進している。 (2)ゲイムDNAのヌクレオソーム単位断片化の検討。アポトーシスの指標として用いられて来たGenomic DNAのヌクレオソーム単位断片化の高感度Assay法として、Genomic DNAをプローブとするHybridization Assay法を考案した。 アンドロゲン応答性アポトーシス機構を有するシオノギ癌(SC115)由来細胞のクローニング。SC115の増殖進展過程でアンドロゲン応答性の異なる細胞群を示唆する結果が得られたことから、アンドロゲン応答性アポトーシス機構を指標として、SC115由来クローン化細胞の分離を試みた。その結果、ホルモン応答性の異なる3群のクローン化細胞を得た(第68回日本内分泌学会学術総会、1995)。 これらの研究により、アンドロゲン依存性組織におけるアポトーシス機構を遺伝子発現レベルで解析する有用なプローブとモデルシステムが得られた。
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