研究課題/領域番号 |
05671322
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
内藤 誠二 九州大学, 医学部, 助教授 (40164107)
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研究分担者 |
長谷長 周二 九州大学, 医学部, 医員
小籐 秀嗣 九州大学, 医学部, 医員
古賀 寛史 九州大学, 医学部, 助手 (20271108)
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キーワード | 尿路性器癌 / 抗癌剤耐性 / MDR1 / メタロチロネイン / 多剤耐性 / P糖蛋白 / MRP / DNAトポイツメラーゼ |
研究概要 |
1.尿路性器癌手術材料の制癌剤感受性試験をMTT assayにより検討した結果、腎細胞癌は尿路上皮癌や精巣腫瘍に比べてadriamycin (ADM)、vinblastine (VBL)やcisplatinに対する感受性が低く、一般的臨床所見とよく合致する結果であった。未治療腎細胞癌から樹立された培養腎細胞癌株7株について制癌剤感受性と耐性に関与する各種遺伝子の発現の関連について検討すると、multidrug-resistance 1 (MDR 1)の発現がみられたのは1株だけであったが、その株は他の6株に比べて明らかにADMやVBLに対する感受性が低かった。一方multidrug-resistance associated protein (MRP)の発現は6株でみられたが、制癌剤感受性との間に一定に関連はみられなかった。また、DNA topoismerase I (Topo I)、Topo IIの発現と制癌剤感受性との間にも明らかな関連はみられなかった。以上より腎細胞癌の制癌剤耐性の機序としてはMDR1が最も重要な役割を果しているものと思われた。 2.膀胱癌培養細胞株T24からADM耐性株T24/ADM1、T24/ADM2、T24/ADM9を樹立した。これらの耐性株ではMDR 1の発現はみられず、耐性の機序としてはMRPの発現およびTopo IIの発現低下が重要な要因と思われた。従って、膀胱癌におけるADMを含む化学療法後の制癌剤耐性には、従来からいわれてきた MDR 1が関与しないで、MRPの発現やTopo IIの発現低下などが関与していると思われる耐性、いわゆるnon-P-glycoprotein-mediated atypical MDRが存在することが示唆された。
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