ヒト腎癌の発生進展は多段階の過程であり癌遺伝子の活性化と癌抑制遺伝子の不活性化がその過程に関与していると考えられている。このことの詳細をあきらかにすることが本研究の課題である。我々は不活性化されている癌抑制遺伝子として特にon Hippel-Lindau(VHL)病癌抑制遺伝子、p53遺伝子、retinoblastoma遺伝子をその候補として遺伝子の構造異常と欠失の頻度を検討を進めた。その結果、原発性腎細胞癌を用いた検討で、高い頻度でVHL病癌抑制遺伝子の構造異常が見られかつこの遺伝子の津も欠失も高頻度認め羅れた。この結果よりVHL病癌抑制遺伝子が腎細胞癌、特に淡明亜型腎細胞癌の主要な癌抑制遺伝子であることを明らかとなった。今回はとりまとめられないが、VHL遺伝子変異に基づいた腎細胞癌の分類を検討しており、VHL遺伝子異常の内容によっては予後因子となると予測される。将来的にVHL遺伝子の異常を持つ腎細胞癌はVHL遺伝子を用いた遺伝子治療を行う対象となりえることも期待される。今回はヒト腎細胞癌におけるVHL遺伝子、retinoblastoma遺伝子、p53遺伝子の遺伝子異常について総括して報告した。
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