研究概要 |
血中testosterone濃度と勃起機能との関係、特に陰茎局所に対するtestosteroneの影響について、Magnus法、autoradiographyおよびradioligandbinding assayを用い検討した。 成熟雄日本白色種家兎を以下の3群に分けた。すなわち、第1群はcontrol、第2群は去勢のみ施行、第3群は去勢後testosterone propionate 10mg/rabbit/day14日間筋注の全3群とした。去勢は屠殺28日前に行ない、またtestosterone propionateは屠殺14日前より投与を開始した。無麻酔下で頭部打撲および脱血にて屠殺後、直ちに陰茎を摘出し、12×1×1.5mmの陰茎海綿体切片を作製し、以下の実験に供した。 Norepinephrine bitartrate,1-phenylephrine hydrochloride,clonidine hydrochlorideの各薬剤を使用し、Magnus法にて陰茎海綿体の収縮反応について検討し、次のような結果を得た。各群共に3薬剤により濃度依存性の収縮反応を示した。収縮反応は、第1群に比べ第2群では有意に減少し、第3群では有意に増大した。 同様の方法により、acetylcholineおよびvasoactive intestinal polypeptideによる弛緩反応についても検討した。弛緩反応は、control群に比して去勢により減少し、testosterone投与により増大した。 以上のように、血中testosterone濃度上昇により陰陰海綿体平滑筋の収縮弛緩反応の感受性が亢進し、濃度低下により感受性が低下した。これは、testosteroneが陰茎海綿体平滑筋の自律神経受容体感受性を変化させることによるものと考える。 このように、当初の計画がほぼ達成され、新たな知見が得られた。しかしautoradiographyとradioligand binding assayに関してはその方法を学ぶに留まり、平成6年度の課題となった。
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