研究概要 |
単一精子の囲卵腔内注入後の電気的細胞融合法による受精の確立を目的として基礎的実験を行なった。 1.0.1Msucrose添加PBS溶液中でマイクロマニュプレーター操作下にマウス卵子囲卵腔内に複数の精子(5〜10匹)を注入し各種電圧、パルス幅、パルス処理回数による受精率を比較検討した。強度1kV/cm,1.5kV/cm,2kV/cm,パルス幅20μsec,30μsec,40μsec,50μsec,パルス処理回数1〜4回の検討において電圧1〜1.5kV/cm,パルス幅30〜40μsecの条件下で2回処理したときの受精率が20.5%と最も高率であり、細胞融合を施行しないcontrol群の受精率5.6%に比し高値を示した。しかし受精卵の多くに多精子受精を認め、前核期以降への発育を認めていない。またパルス処理による卵細胞質障害も12.5%とcontrol群の6.2%に比し高率に認められた。 2.単一精子の囲卵腔内注入後の細胞融合実験では1kV/cm,30μsec,2回のパルス処理により、受精が認められたが受精率は現在のところ2%と極めて低率であり、また2細胞期以降への発育も認めていない。したがって現在さらなる細胞融合の至摘条件、細胞融合用溶液の基礎的検討を継続中であり、また注入精子の処理法(Ca ionophoreによる前処置の有無による受精率の比較)に関しても検討している。 3.電気融合後の精子の卵細胞膜への融合状態に関する形態学的検討に関しては、得られれた受精卵が少数であるため電子顕微鏡標本の作成にはいたっておらず、未検討であり今後検討予定である。
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