研究課題/領域番号 |
05671347
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 信二 東北大学, 医学部(産婦人科学), 講師 (10142960)
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研究分担者 |
八重樫 伸生 東北大学, 医学部附属病院(産婦人科学), 助手 (00241597)
笹野 公伸 東北大学, 医学部(病理学), 助手 (50187142)
田勢 亨 東北大学, 医学部附属病院(産婦人科学), 講師 (50179701)
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キーワード | 子宮体癌 / 癌遺伝子 |
研究概要 |
本年度は主として日本人症例を対象に、子宮体癌(特にGl)と異型増殖症(ATH)の生物学悪性度を比較検討した。 まず、両者の細胞増殖能をPCNA、Flow Cytonetryによって検索した。その結果PCNAにおけるLi(labeling index)、Flow CytonetryによるPi(prolifercative index)を指標とすると、ATH、Glとも似かよった値を示し、増殖能の面から両者の差異をとらえることは困難であった。 次に癌関連遺伝子異常をc-myc遺伝子、c-erbB-2遺伝子、K-ras遺伝子、p^<53>遺伝子について検査した。その結果、c-erbB-2遺伝子産物とK-ras点突然変異はATHの時点からすでに見られp^<53>蛋白は癌化してから過剰発現を示し、特に症例の多いK-rasとp^<53>両遺伝子について述べると、K-rasはee特的早期変化、p^<53>は晩期変化ととらえることができると推察された。 さらに細胞と基質間相互作用をラミニン、π型コラーゲン、ラネイシン、CD44の各項目について検索した。その結果、ラミニン、π型コラーゲンなどの基底腔構成成分の欠損は、ほとんどがATHの時点から始まっていた。しかしラネイシン、CD44などの細胞外マトリックス、接着分子などの検討では両者の発現態度にかなり明確な差異がみられた。 以上をまとめると、1)ATHとGlは連続的な病変であり、ATHはすでにある意味では浸潤能を獲得している。2)両者の差異、すなわち一方が上皮内病変にとどまり、一方が浸潤・転移をきたすという振るまいの差は、細胞細胞間または細胞基質間相互作用によって決定される事柄であるとなった。
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