研究概要 |
哺乳動物の卵透明帯(ZP)は、種によって異なるが3〜4種類の糖蛋白質より成っており、高分子のものから順にZP1,ZP2‥と名付けられている。このZPの構造解析は、主として、マウスを用いて国際的にも研究されている。ZPは種特異的な精子・卵相互作用に関与する重要な構造物であるので、種特異性を研究する為には、他種動物のZPの構造を明らかにし、マウスと比較検討する方法は、多くの有益な情報を与える可能性が期待される。本研究では、マウスZP2及びZP3 cDNAを用いて、実験動物としてポピュラーなラットのZP2及びZP3のホモローグ分子のクローニングを行う事を目的として居り、現在まで以下の結果を得た。(1)単離したラット卵ZPを^<125>Iでラベルし、SDS-電気泳動、各種Exo-or Endoglycosidase処理により、ratZP2、ZP3.は、各々119KDa、115KDaの分子量を持つ事が明らかになった。(2)このうちペプチドは各々59KDa、44KDaであり、分子量及び抗マウスZPペプチド抗体が、ラットZPと反応する事より、ラットZP2、ZP3は、マウスZP2、ZP3のホモログである可能性が推定された。(3)ラット卵巣より、オリゴdT-クロマトグラフィーによりmRNAを精製し、cDNA合成後λZAPIIベクターに挿入し、ラット卵巣cDNAライブラリーを製作した。現在、マウスZP2及びZP3cDNA(米国NIH Dr.J.Deanより供与)をProbeとして、このcDNAライブラリーをスクリーニングし、陽性クローンのDNAシークエンスを解析中である。
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