研究概要 |
各方面にヒト由来の癌細胞株の分与を依頼し、多数の株細胞を入手した。これらの細胞株の中には、細胞の増殖が悪く、我々の研究室では感受性検査を施行するほどに増殖させられない細胞株もあった。従って、DOSSによる薬剤感受性検査が施行できたのはこの中の一部であった。本年はこの内、子宮体癌と卵巣漿液性腺癌の抗癌剤感受性をni vitroで検査した。 感受性検査に用いた薬剤はADM,THP-ADM,EPI,ACR,DM,Act-D,BLM,PEP,NCS,MMC,VLB,VCR,VDS,Ara-C,5-FU,MTX,CPM,CDDP,CBDCA,254-S,DWA2114-R,1-OHP,MCNU,L-ASP,ETP,CPT-11の26種。作用濃度は0.01,0.05,0.1,0.2,0.5,1,2,5,10μg/mlの9濃度、作用時間は1、3、6、12、24、48、72時間の7作用時間であり、抗腫瘍性は対照を1とした時の増殖抑制率で表した。 その結果、子宮体癌は薬剤感受性の比較的高い低分化型と薬剤感受性の低い高分化型に分かれた。低分化型に対して有効な薬剤はanthracycline系薬剤とET,CDDPであり、高分化型に有効な薬剤はMMC,Act-D,CDDPであった。 一方、卵巣漿液性嚢胞腺癌は細胞株ごとに薬剤感受性が異なっており、全体的に薬剤耐性が強かった。この理由は、細胞株樹立時に既に化学療法を受け、再発した患者から樹立された細胞株が多く、細胞自体に耐性が備わっているためと考えられた。従って、本腫瘍に対する評価はまだ下していない。
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