研究概要 |
子宮体癌と卵巣漿液性嚢胞腺癌の抗癌剤感受性をMTT assayを用いたDisease Oriented Screening法によって調べた。子宮体癌はヒト子宮体癌由来のIshikawa,HEC-1,HEC-50B,HEC-59,HEC-88の5種の細胞株、卵巣漿液性嚢胞腺癌はヒト卵巣漿液性嚢胞腺癌由来のYoshizaki,Asano,SHIN-3の3種の細胞株を用いた。使用薬剤はADM、THP-ADM、EPI、ACR、DM、Act-D、BLM、PEP、NCS、MMC、VLB、VCR、VDS、Ara-C、5-FU、MTX、CPM、CDDP、CBDCA、254-S、MCNU、L-ASP、ETPの23種である。方法は細胞を7枚のマイクロプレートに5×10^3-1×10^4個/well植え込み、72時間前培養の後、薬剤を接触させた。薬剤濃度は0.01,0.05,0.1,0.2,0.5,1.0,2.0,5.0,10μg/mlとし、血中濃度の高い5-FU,CBDCA,ETPは10倍濃度、単位の異なるL-ASPは0.005〜500IU/mlとした。薬剤接触時間は1,3,6,12 24,48,72時間とし、96時間後にMTTを添加、更に4時間培養後DMSOにより細胞を溶解し、570nmの吸光度を測定、各薬剤毎に接触時間毎のsurviving fraction curveを作製し、それぞれの薬剤の各接触時間毎のIC_<50>値を求めた。 その結果、子宮体癌は高分化型と低分化型とでは薬剤感受性が異なっており、高分化型の方が薬剤感受性が低かった。有効性が認められた薬剤はADM、THP-ADM、ACR、Act-D、NCS、VLB、CDDP、254-S、ETPであった。特にACRとCDDPは5株すべてに有効であった。一方、卵巣漿液性腺癌はいずれも薬剤感受性が低かったが、3株に共通して有効と判定されたのはACR,Act-D,CDDPの3薬剤であり、2株に共通して有効と判定されたのはVLB,VCR,5-FUの3薬剤だった。 以上の薬剤感受性検査結果に基づき、子宮体癌、卵巣漿液性腺癌に対するより有効な新しい化学療法レジメン開発の可能性が示唆された。
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