研究概要 |
(1)妊婦好中球機能の変容を知るためにライソソーム酵素であるエラスターゼ(以下PMN-E)を指標として妊娠中の抹消血好中球活性を検討した。 抽出純化した好中球浮遊液にphorbol myristate acetate(以下PMA)を添加、37℃にてインキュベートしmedium中のエラスターゼを測定した。 I)PMAによるPMN刺激の時間依存性を検討した。刺激開始から6時間にわたり一次関数的にmedium中へのPMN-E分泌が増加した。男性4例、女性1例、妊娠14〜40週の正常妊婦8例でPMN-E分泌刺激実験をおこなったところ刺激時間3、6時間で妊娠初期に高く末期に低下する変化を示したがその差は顕著ではなかった。 II)実験II)と同一のPMNをsonicationしPMN中のPMN-Eを定量した。PMN-E含有量は性差および妊娠の有無にかかわらずほぼ一定であった。 III)estradiol(2μg/ml,40ng/ml)、progesterone(2μg/ml,40ng/ml)で1時間preincubationしたのちPMAによる男性PMNをPMAで刺激刺激し経時的にPMN-E分泌量を測定した。estradiol、progesterone添加の影響は認められなかった。 IV)結論: PMN-Eを指標とする限り妊婦の好中球中の含有量、PMA刺激にたいする反応、性ステロイドのPMN-E分泌への影響のいずれも非妊婦との間に差は存在しない。 (2)好中球走化性試験 I)実験条件の検討 Boyden chamberをもちいて好中球走化性が妊娠中にどう変容するかを検討するため、実験条件を検討した。走化誘因物質(IL8,f-MLP)の添加濃度、PMN数、刺激時間などを検討した。その結果、好中球数は5×10^5、f-MLPは10^<-7>M,IL8は100ng/mlが適当であると判断された。
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