研究概要 |
1.本年度はまず、予備実験としてラット顆粒膜細胞を用い実験を開始した。未熟ラットに妊馬血清ゴナドトロピン(PMSG)を投与し、投与後、経時的(8,16,24,32,40時間)に顆粒膜細胞を卵巣より採取した。これらの顆粒膜細胞より総RNAをグアニジン-塩酸法により抽出した。 2.抽出されたRNAを逆転写酵素(RT)を用い二本鎖DNAに転換した。既に報告されているラット・インヒビンαサブユニット、またアクチビンとも共通のβAおよびβBサブユニットの塩基配列に対するプライマーを用い、DNA増幅装置によるRT-PCRを行い、各サブユニットの一部を増幅した。同時にβ-アクチンmRNAも同様に増幅し、対照とした。アガロース電気泳動法により増幅されたDNAを分離し、デンシトメーターを用い各々のバンドの濃度を測定した。β-アクチン量を基準にインヒビンα、βA、βBサブユニットの発現量を定量化した。 3.その結果、PMSG投与により顆粒膜細胞における各サブユニットの発現は、経時的に増加していることが明かとなった。すなわち、PMSGがラットではin vivoにおいてインヒビン、アクチビン遺伝子の発現を刺激していることが示唆された。 4.上記のRT-PCR法による定量化の信頼性を検討するため、PMSG投与後経時的に収集した大量の顆粒膜細胞よりRNAを抽出し、アガロース電気泳動を行った。これをニトロセルロース膜にノーザン・ブロット法により転写し、アイソトープにて標識したインヒビンα、βA、βBサブユニットおよびβ-アクチンcDNAを用いてハイブリダイゼーションした。その結果、上記のRT-PCR法と同様に、PMSGによる各サブユニットmRNA量の増加が観察された。以上の結果より、RT-PCR法による定量化はノーザン・トランスファーによる定量化と同等の定量性が得られることが明かとなった。
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