顆粒膜細胞から合成・分泌される特異蛋白の生理作用を検討するため、インヒビン、アクチビンおよびフォリスタチン遺伝子の発現と、エストロゲン、プロゲステロン、タモキシフェンの調節機序を検討した。 1.幼若ラットをPMSGで処理し、顆粒膜細胞を採取した。RNAを抽出し、アガロース電気泳動を行った後、ノーザン・ブロット法にてナイロン膜に転写した。インヒビンα、βA、βB、フォリスタチンRNAの塩基配列に相補的なヌクレオチドを合成し、アイソトープ(P^^<32>-ATP)で標識後、ハイブリゼーションし、各mRNAの定量化を行った。 2.インヒビンα遺伝子発現はPMSG投与後経時的に増加し、in vitroのエストロゲン添加により増加、プロゲステロン添加により減少した。エストロゲン・タモキシフェン同時添加によっても、エストロゲン作用は抑制されなかった。インヒビンβAは、インヒビンαと相反し、エストロゲン添加により減少、プロゲステロン添加により増加した。フォリスタチンは、影響を受けなかった。以上の結果より、卵巣ステロイドホルモンが、これら卵巣特異蛋白の発現調節に関与している可能性が示唆された。
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