婦人科腫瘍のクロナリティ解析のためX染色体上のPhosphog lycerokinase(PGK)遺伝子における多型性に注目し、PCR法ならびにメチル化部位に感受性をもつHpaIIとBstXIに対する感受性を組み合わせた実験手法を開発した。手術を施行し、組織学的診断が確認されている子宮筋腫24例を対象として検討し、以下の成績を得た。 1.PGK遺伝子におけるBstXIのヘテロ接合型をもつ症例は子宮筋腫24例中9例(38%)に認められた。 2.この9例より22個の子宮筋腫核を摘出し組織学的確認を行った上で腫瘍のクロナリティ解析を加えた結果、正常組織のDNAのバンドはHpaII前処理の有無にかかわらず530bpと433bpのいずれか1本のバンドのみが検出された。 3.22例の筋腫組織において検出された1本のバンドパターンは530bpが12例、433bpが10例であった。 4.同一子宮内の異なった個所より採取した筋腫組織を比較した結果、個々の筋腫核はバンドパターンが異なっているがそれぞれに特徴的な1本のバンドパターンを呈した。 以上の結果より、子宮筋腫はすべて単一クローン由来であり独立して発生するものと考えられた。
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