研究概要 |
GABA GABA抗体を用いた免疫電顕により、1)ラット卵管上皮には、(1)non-ciliated(secretory)cell(2)ciliated cell with secretory granules(3)ciliated cell without secretory granulesの3種の細胞が存在する。2)GABAは卵管上皮の管腔側細胞質に存在し、その強さは(1)(2)の順であり(3)には認めないが、3)ciliaの表面には付着している事を明らかにし、5年度までの光顕の知見と併せて、GABAが卵の移送や受精・卵割といった生殖現象に関与している可能性を示唆した。(Pathophysiology 1:221,1994) グルコーストランスポーター1(GLUT1) 8細胞期以降の胚や胎児の主要なエネルギー源はグルコースであり、卵管液や胎盤から供給されるが、その供給機構として促進拡散型糖輸送体のGLUT1が想定されている。 ヒト胎盤:(1)妊娠全期間で、血管内皮とsyncytiotrophoblastの細胞膜にGLUT1が発現し、(2)その強さは妊娠初期はapical側がbasal側より強いが9-10週でbasal側が強くなり、以降変化はない。(3)pre-embedding DAB法及びgold-particleを用いたpost-embedding法による免疫電顕により、cytotrophoblastの細胞膜にはGLUT1が発現していない事を明らかにし、GLUT1が胎盤自身よりも胎児発育に関与している可能性を示唆した。(Eur.J.Endocrinol.in press)(Placenta 15:A 92,1994)(日本内分泌学会雑誌 70:338,1994) ラット卵管:(1)GLUT1は卵管上皮のみに発現し、筋層や漿膜には発現しない。(2)卵管上皮では管腔側の発現が強く(3)分泌能の高い卵管膨大部と峡部の上皮には発現を認めたが、采部や子宮への移行部には発現を殆ど認めず、卵の受精や発育のためにグルコース要求性の高い胚が通過する部位に一致してグルコース供給系が発達している事を明らかにした。 (日本産科婦人科学会雑誌 印刷中)
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