研究課題/領域番号 |
05671375
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐藤 昌司 九州大学, 医学部, 助手 (00225947)
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研究分担者 |
石田 清 日本学術振興会, 特別研究員
平川 俊夫 九州大学, 医学部, 助手 (20218770)
前田 博敬 九州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (20199631)
小柳 孝司 九州大学, 医学部, 助教授 (30136452)
中野 仁雄 九州大学, 医学部, 教授 (40038766)
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キーワード | ヒト胎児 / 双胎 / 胎児循環動態 / 胎児発育 / Discordancy / 胎盤循環 / 胎盤病理 |
研究概要 |
妊娠24週以降に出生に至った多胎症例70例を対象に、胎児循環動態と胎盤所見から双胎妊娠を分類し、疾病双胎発生のメカニズムを検討した。胎児循環動態の指標としてFractional shortening(FS)、心室拡張終期径(EDD)、胎児尿産生率(UPR)および臍帯動脈のResistance Index(RI_<UA>)の4つの指標を分娩前1週間以内に計測し、各々の指標を当該妊娠週数における単胎児から得られたnomogramと比較した。一方、胎盤所見として血管吻合の有無、隔壁の膜性、臍帯付着部位および梗塞の有無を評価した。両児間の出生体重差が20%以上を示す症例をdiscordancyありとした。その結果、対象例は次の三群に分類された。I群(6例):大きい方の児(L児)にFSの低下あるいはEDDの拡張、およびUPRの高値を認め、小さい方の児(S児)にUPRの低値を認める群。II群(7例):UPRがL児で正常、S児で低値を示し、かつ、S児にRI_<UA>の異常を示す群。III群(57例):両児とも循環動態の指標が正常の群。このなかで、I群では、胎盤は、いずれの症例においても1絨毛膜2羊膜で血管吻合を、II群ではS児の胎盤のみに梗塞あるいは臍帯卵膜付着の異常を認めた。III群の胎盤には著変を認めなかった。胎児発育はI、II群では全例にdiscordancyを認めた。以上の成績から、【.encircled1.】双胎妊娠は、一絨毛二羊膜性胎盤を起因に、L児の心機能不全とS児の循環不全を随伴する双胎間輸血症候群、胎児付属物異常を起因に、一児に循環不全を示す群、ならびに胎盤所見および循環動態に異常を認めない群の三群に分類されること、【.encircled2.】前二者における疾病双胎の発生過程には解剖学的な胎盤の構築が関与していることが明らかとなった。
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