研究概要 |
手術によって得られた正常子宮筋および筋腫組織を-20℃下にて20mumの凍結切片をつくり,gelatin coating slide glass上にのせ風乾後,持続吸引陰圧デシケータ内で一晩乾燥し,その後15mM Tris-HClのbuffer中でpreincubationを行った後,170mM Tris-HCl,1%bovine serum albuminを含むbufferを用い,これに2X10^5cpm/mlになるよう^<125>I-Buserelinを加え,4℃,pH7.4の条件にて120分間incubationを行った。その後,bufferで洗浄後,室温乾燥を行い,得られた資料について,Bas 2000 Bio image analyzerを用いて放射活性を測定した。なお,コントロールとしてラット下垂体前葉および海馬を用いた。上記条件にてラット下垂体前葉および海馬には,GnRHa receptorの存在が証明された。正常子宮筋および筋腫ではBas 2000 Bio image analyzerで測定した放射活性は,total bindingの方がnon-specific bindingよりも高いものが存在し,GnRHa receptorの存在が示唆された。しかしながら,正常子宮筋および筋腫のbinding activityは,検体によってかなりのばらつきがあり,またspecific activityが認められないものもあった。specific activityが認められるものについて平衡解離常数をもとめたが,一定の値がいまだ得られていない。したがって現在までの結果からは,正常子宮筋および筋腫にGnRHa receptorが存在するとの証拠は得られていない。今後は,子宮筋および筋腫の培養細胞を用い,培養液にGnRHaを添加し培養細胞の増殖能や蛋白量の変化などについて検討し,GnRHaの子宮筋および筋腫への直接作用の有無について検討したい。
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