子宮体癌細胞の増殖は主にエストロゲン依存性と考えられるが、細胞内にはエストロゲン受容体の他にアロマターゼが存在し、細胞内に取り込まれたアンドロゲンはアロマターゼの作用によりエストロゲンに転換され、細胞自らがオートクリン、パラクリンによりエストロゲン作用を受けている。そこで、アロマターゼによるエストロゲン依存性の細胞増殖経路と、細胞増殖因子(TGF-α、IGF-I)による細胞増殖経路の相互の関連性を明らかにするために、ヒト子宮体癌培養細胞株HEC-59とヒト乳癌培養細胞株MCF-7を用いて検討し、合わせてアロマターゼ・インヒビターによる細胞増殖抑制機構についても若干の検討を試みた。 その結果、HEC-59株細胞やMCF-7株細胞の細胞増殖に関して、アロマターゼとTGF-α、IGF-Iを介した各々の細胞増殖経路は互いに各々独立しているが、その間には互いに干渉し合うオートレギュレーション機構の存在することが明らかとなった。また、アロマターゼ・インヒビターはこのアロマターゼを介する増殖経路を抑制するが、その効果についてはアロマターゼ自殺阻害剤(14α-OHAT)とアロマターゼ競合阻害剤(AG)の間で相違が認められた。
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