研究概要 |
ヒト黄体には、黄体化ホルモン受容体(LH‐R)が存在し、黄体の加齢に伴い変化することが知られているが、mRNAレベルでの検討は未だない。われわれは、ヒト月経黄体および妊娠黄体におけるLH‐R mRNAの発現について検討した。正常月経周期を有する子宮頚癌患者から手術時に黄体を採取した。また、妊娠黄体は、子宮外妊娠患者から得られた(学内倫理委員会承認済み)。黄体組織より、Poly(A)RNAを調製した後、ヒトLH‐R cRNAプローブを用いて、Northern blotting(NB)を行った。さらに、黄体組織におけるLH‐R mRNAの発現についてin situ hybridization(ISH)法を用いて検討した。「成績」ヒト月経黄体にLH‐R mRNAのシグナル(8.0,7.0,4.5Kb)が認められた。LH‐R mRNAレベルは黄体期初期、中期に強く、黄体期後期にかけて漸減した。退行黄体には、LH‐R mRNAのシグナルは認められなかった。また妊娠黄体にも明らかに、LH‐R mRNAのシグナルを認めた。ISHにても、黄体細胞にLH‐R mRNAの発現を認め、NB解析でみられたLH‐R mRNAの変化とほぼ一致した。「結論」ヒト黄体におけるLH‐Rの発現機構には、LH‐R mRNAレベルでの調節が関与していることが示唆された。これらの成績は、米国内分泌学会雑誌(J Clin Endocrinol Metab80(4):1444-1448,1995)などに掲載された。また現在までに、ヒト卵胞顆粒膜細胞におけるゴナドトロピン受容体mRNAの発現についても検討し、顆粒膜細胞に卵胞刺激ホルモン(FSH)受容体mRNAが存在することも確認された。
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