研究課題/領域番号 |
05671393
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
利部 輝雄 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70048304)
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研究分担者 |
佐藤 昌之 岩手医科大学, 医学部, 助手 (20183387)
松田 壯正 岩手医科大学, 医学部, 講師 (40157326)
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キーワード | 核小体形成体領域 / 子宮内膜 / 性周期 / 子宮内膜日付診 |
研究概要 |
正常成熟婦人の子宮内膜は、卵巣の周期的活動とともそこから分泌される性ステロイドに反応して増殖、分泌の周期的変化を示している。この変化は病理組織学的に規則正しく、その所見から子宮内膜の月経周期における日付診断が可能である。このような生理的な子宮内膜の増殖分化とrDNAからrRNAへの転写の場である核小体形成体領域(Nucleolar Organizer Regions:NORs)との関連性を検討し、以下の成績を得た。 研究対象:月経周期30日型で、基礎体温表から排卵日の明らかな婦人で、子宮内膜、卵巣に病変がなく、他の部位の疾患で子宮摘除をうけた婦人の子宮内膜126例を収集した。 研究方法:収集した子宮内膜を20%中性ホルマリンにて固定後、通常のパラフィン包埋を行い、1例につき3mumの連続切片を5枚ずつ作製した。切片の2枚を通常のヘマトキシリン・エオジン(HE)染色、他の2枚をCrockerの原法に従ってAgNOR法により染色した。残り1枚の切片を予備とした。通常のHE標本にて子宮内膜の日付診を行った。AgNOR染色標本では1例400個の子宮内膜腺細胞の核についてNOR数をかぞえた。 研究成績:[子宮内膜組織のAgNOR染色所見]子宮内膜腺細胞の核は黄色に染色され、細胞質は染色されないか、または淡黄色に染色される、核内のNORsは径0.9〜2.9mumの点状または円〜楕円形の黒色または暗褐色の領域として観察される。その数を月経周期,内膜日付診にしたがってみると増殖期初期:2.40±1.01、同中期:2.75±0.90、同後期に2.93±0.84、分泌期排卵当日〜排卵後1日2.39±0.88、排卵後2〜3日2.26±0・93、同4〜5日1.96±0.82、同6〜7日1.94±0.73、同8〜9日1.87±0.76、同10〜11日1.85±0.69、同12〜13日1.84〜0.66であった。 結論:正常子宮内膜腺細胞の核内NORs数は性周期に伴う子宮内膜の増殖分化の指標となることが明らかとなった。 なおレーザー共焦点顕微鏡とIn situ Hybridizationの基礎的検討を行い、核内の立体構造が観察可能となった。
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