研究概要 |
1994年3月迄にIIc期以上の卵巣癌17症例に対し合計25コースのcarboplatin+cyclophosphamideによる自家骨髄移植併用大量化学療法を行った。17症例の臨床進行期は、IIc期:30例,IIIb期:2例,IIIc期:6例,IV期:5例,再発例:1例で,病理組織型は,漿液性腺癌:11例,類内膜腺癌:3例,明細胞腺癌:2例,粘液性腺癌:1例である。その結果,次のような成績が得られた。 1.投与抗癌剤の量はcyclophosphamideを3g/m^2に固定し,carboplatinの投与量別に施行したコース数をみると,900/m^2:10コース,1200mg/m^2:4コース,1500mg/m^2:11コースとなり,2コース投与を予定したにもかかわらず2コース投与可能であったものは,17症例中10例にすぎなかった。 2.2コース投与を不可能にした主な原因は,1コース目における白血球減少時の重症感染症と,血小板数の回復の著明な遅延がその主なものであった。特にcarboplatinの大量投与に起因する血小板数の減少は著明にみられ,以前私達が行ってきたcisplatin+adriamycin+cyclophosphamideでの大量療法による血小板輸血回数が,1コースあたり5回以下がほとんどであったが,本療法では,ほとんどの症例が5回以上の血小板輸血を必要とし,最高で18回の血小板輸血を必要とした。 3.本療法を2コース行うことのできた10例(IIc期:1例,IIIb期:1例,IIIc期:3例,IV期:4例,再発例:1例)での現在までの治療成績は,再発死亡5例(治療開始後死亡までの期間は9ケ月〜29ケ月,中央値22ケ月)で,他の5例は現在のところ無病で生存している(最長36ケ月)。 4.患者の腸骨からの穿刺吸引法による自家骨髄採取法に対し,最近注目されている末梢血幹細胞採取法では,約10倍量もの造血幹細胞の採取が可能なことから,今後は末梢血幹細胞移植法も併用しての大量化学療法を行う予定である。
|